冷えとり食材:唐辛子>>
唐辛子の成分と体を温めてくれる可能性
唐辛子とは

口に含んだ時の強烈な刺激や熱感のインパクトはもちろんのこと、唐辛子ダイエット(カプサイシンダイエット)が話題になったことなどもあり“燃える”食材・香辛料というイメージの強い唐辛子。
英語ではチリペッパー(chili pepper)もしくはレッド・ペッパーと呼ばれていますが、唐辛子はメキシコ原産のナス科植物のためペッパー(コショウ科)とは全くの別種。8000年前から食用とされていたとする説もありますが、世界に存在が広まったのはコロンブスのアメリカ大陸到達以後となります。
発見者であるコロンブスがインドの有名な香辛料である胡椒の仲間と勘違いしたため、英名にペッパーが使われているのだそう。ちなみに日本に伝わったのは16~17世紀頃と推測されており、伝播経路については宣教師が持ち込んだ・朝鮮出兵で持ち帰ったなど諸説あります。
唐辛子の有効成分は辛味成分というイメージから「辛いのを頑張って食べなくては」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、唐辛子の甘味種であるピーマンなどに含まれるカプシエイトという成分もカプサイシンと同様の作用があることが報告されています。辛味が苦手な方は無理をして食べる必要はないでしょう。
また唐辛子は食べ方を間違えてしまうと逆に体を冷やす可能性がありますので、摂取量や方法に注意が必要な存在でもあります。
唐辛子の成分が冷え性の解消に繋がる理由
代謝・体温アップ
冷えに良いと言われている食材やハーブなどは食べた時に「温まっている?」とあまり実感のわかないものも多いかと思いますが、その点唐辛子は味覚的にも体感的にもカッと体が火照るような熱さを感じることが多いのではないでしょうか?
このポカポカ感は唐辛子に含まれている「カプサイシン」という辛味成分の働きによるもので、中枢神経を刺激することでアドレナリン(エピネフリン)などのホルモン分泌を促進する働きから起こっています。アドレナリンはエネルギー代謝を促進させる作用があり、その影響で体温上昇や発汗が促されます。
この働きによって代謝・血流量などが増大し体が熱くなったと感じたり、寒かったはずが汗ばんでいるという結果に繋がります。カプサイシンダイエットなどで“運動と同様の効果”と言われるのもこの働きによるものです。
体を冷やす(陰性)食品でもある
代謝や体温アップに役立つカプサイシンを含む唐辛子ですが、手放しで「冷え性の改善に良い」と言えないのが難しい所です。というのも唐辛子を食べると一時的に体温が上昇し汗をかきますが、皮膚についているこの汗が気化(蒸発)する際に体の熱を奪ってしまうため。タイやインドなどの暑い国で唐辛子を使った料理が食べられているのも、この最終的に体を冷やす働きがあるためと考えられています。
漢方や薬膳の五性の分類では「熱性」という体を温める食材に分類されているものの、陰陽の分類では体を冷やす「陰性」に分類されていたり、体を冷やすから冷え性は唐辛子摂取NGという方もいます。
気化熱によって体が冷えるという点に関しては、食後こまめに汗を拭いたりなどの工夫である程度はフォーロー出来ます。食べっ放しは確かに体を冷やす可能性がありますが、即効性のある温め食材でもありますので冷え性の方は絶対に食べないほうが良い食材というわけではありません。ただし毎日の摂取というよりは、冷えが強い時など即効性が欲しい時の“特効薬”感覚で使用したほうが無難でしょう。
その他、唐辛子の成分に期待できる効果
ダイエットの補助として
唐辛子に含まれているカプサイシンはアドレナイリンの分泌を促進します。アドレナリンが分泌されると脂肪分解酵素(リパーゼ)が活性化されて蓄えていた脂肪をエネルギーとして提供しやすい状態をつくりだすことだできるため、脂肪燃焼効率を高めることでダイエットに繋がると考えられいます。
唐辛子(カプサイシン)は「食べるだけで運動時の様な状態になる」と称されることもありますが、ダイエットや脂肪燃焼効果を期待する場合はカプサイシンを摂取した後に有酸素運動を行う必要があります。カプサイシンは脂肪燃焼を“促す”働きを持つ成分であって、脂肪を自動的に燃焼してくれる成分ではないというのがその理由。
元々の代謝がよほど高くないかぎり。唐辛子などのカプサイシン含有物を摂取しただけで痩せることはないと言われています。
胃腸サポート・便秘改善
唐辛子やカプサイシンは食べ過ぎると胃腸に良くないことが知られていますが、実は適量であれば胃腸機能のサポートや便通改善などに対して効果が期待できます。
良くも悪くもカプサイシンは刺激性を持ちます。少量の摂取であればこの刺激が胃腸の働きを促すことに繋がり、唾液や胃液の分泌・腸の蠕動運動促進などの方向に働いてくれるのです。暑い国で唐辛子が好まれるのは食欲増進などに役立つことから、暑さ負けを防ぐという意味合いもあると考えられています。
唐辛子の注意点

ハーブやスパイス類は殆どが抵摂り過ぎに注意が必要とされますが、唐辛子は特に刺激が強いため過剰摂取が厳禁とされている食材です。カプサイシン類は刺激が強く粘膜を傷つける可能性もあるため胃腸トラブルの原因となりかねません。またアドレナリン過剰分泌による大脳辺縁系への負担が大きいと、鬱や睡眠障害などの精神・神経トラブルを引き起こす危険性もあります。
食品として多少料理に加える程度であれば問題ないとされていますが、激辛チャレンジのような大量使用・サプリメント等から摂取する場合は注意が必要です。空腹時にいきなり食べないようにしましょう。
冷え性の改善という点から見ると、唐辛子を単体で摂るよりもニンニクやショウガなど他の薬味・スパイスと合わせて摂取した方が良いとされています。合わせて摂取することで唐辛子(カプサイシン)のデメリットの緩和、他の成分と複合しての「温め」効果が期待できるでしょう。七味や発酵食品であるキムチなどを活用してみてください。