冷えとり食材:生姜(ショウガ)>>

生姜/ジンジャーの成分と体を温めてくれる可能性

生姜(ショウガ)とは

ジンジャーイメージ

ショウガは生姜(ショウキョウ)もしくは乾姜(カンキョウ)と呼ばれ生薬としても利用されていることが知られていますが、その起源は紀元前500年頃からと言われるほど歴史のある食材です。日本や中国だけではなく世界中で薬味・香味野菜として使われており、各国の食事・伝統医療とも密接な結びつきがある存在です。

近年でも冷えとりブームの中心的存在の1つとしてよく知られており、「冷え知らずさんシリーズ」(永谷園)など生姜を使った商品も多く販売されていますね。


日本でも2~3世紀には中国から伝えられており、日本最古のスパイスが生姜であったのではないかとする説もあるほど。古い時代は日本のみならずユーラシア大陸全体的に「薬」として重要な位置付けだったと考えられています。日本で現在のような薬味・香辛料などどとして、人々に広く親しまれるようになったのはのは江戸時代以降と言われています。

それでもハーブ・香辛料などの使用が少ないと言われている日本人にとって、生姜は最も親しみやすい存在の1つと言えます。生臭さを消す・風味を加えるなどご飯作りに役立つ存在であると同時に、生姜紅茶・生姜湯・ホットレモネードなど様々な飲み物に、ジンジャークッキーなどのスイーツにと何にでもプラスしやすい使い勝手の良さや、チューブやパウダー状のものも販売されているため利用しやすいのも生姜の魅力と言えるでしょう。

生姜の栄養・期待できる効果

野菜に分類されるものの、生姜をキャベツやトマトのように数十~数百グラムを食べる機会は少ないかと思います。成分的に見ても約90%が水分とされており、100gあたりの主要栄養成分含有量的にも取り立てて栄養が豊富な食材というわけでもありません。

生姜が健康に良い・ダイエットに良いなどと言われているのは、薬効成分とも呼ばれることがある「ジンゲロール」「ジンゲロン」「ショウガオール」という3つの成分(生姜3大成分)の働きに起因しています。と言っても3つの成分が初めから含まれているというわけではなく、元々生の生姜に含まれている辛味成分が「ジンゲロール」で、加熱したり乾燥することでジンゲロンやショウガオールに変化します。

生姜に含まれるこの3つの成分は簡単に言うと「血行を促す」ことで体を温める働きを持っていますが、細かく見ていくと得意とすることが異るため、目的に応じて摂取方法を使い分ける必要があります。

食べる以外にもショウガ(ジンジャー)の精油を使ったアロマテラピーでも、体を温める効果が得られると言われています。
ジンジャーの精油についてはこちら>>

生姜の成分が冷え性の解消に繋がる理由

末端への血流を促す

刻み・すりおろしなどにした生のショウガに多く含まれいるジンゲロールは血管、特に末梢血管を拡張する働きに優れています。深部の熱をきちんと手先・足先まで届ける手助けをしてくれるため、末端冷え性の改善効果が期待出来ます。

ただし血行の問題だけではなく深部体温自体が低いタイプの方の場合は、元々存在している熱が少ないため改善効果を感じにくいと考えられます。また末端冷え性の改善には有効とされる反面、深部体温をどんどん送り出してしまうことから体の内側(奥)を冷やすという考え方もあります。

ジンゲロールには高い殺菌作用や免疫力向上効果も認められていますから、風邪をひいた時など「体を温めつつ熱を下げたい」場合などには非常に役立つ存在ですが、ガッツリ冷え性・低体温という方の場合は生のショウガの摂取はあまり適さないとする説が有力です。

深部体温上昇を促す

ジンゲロールを加熱・乾燥したことで出来るショウガオールは胃壁を刺激することで血流を促し、深部体温を作り出す作用があると考えられています。体を温める働きについては生姜3成分のうちで最も優れていると言われています。
漢方でも冷え性の改善に生姜(生のまま乾燥)よりも乾姜(蒸して乾燥したもの)の方が用いられているのも、この成分の働きによるものと考えられます。

加えて生姜を加熱・乾燥した際に微量合成されるジンゲロンには強力な発汗作用があり、接種後すぐに体が熱くなったり汗が出るのはジンゲロンの影響が大きいと考えられています。体を温めるほか、血行促進作用や強い抗酸化作用があることも認められています。

冷えとり目的(血行をよくしたい・体を温めたい・代謝を上げたいなど)の場合は、ショウガを加熱もしくは乾燥してより体を温める働きに優れたショウガオールとジンゲロンに変化させたものを取る方が良いとする説が主流となっています。チューブ生姜よりも生姜パウダーを入れる方が良いと健康番組・雑誌・WEBなどで取り上げられていたのもショウガオールの働きを得ることが目的です。

参考:生姜の栄養成分・効能・美容効果・食べ合わせ

生姜摂取時のポイント

日常的に生姜を摂取する場合は上記理由から乾燥生姜・粉末生姜を利用するのがおすすめですが、生ショウガに含まれているジンゲロールは殺菌作用や免疫力向上作用に優れているという性質があります。そのため寒気・風邪っぽいときや、風邪・インフルエンザシーズンなどは生ショウガを活用すると良いと言われています。
そんな際には少しぬるめのお湯+生ショウガで生姜湯にするとショウガオールの体を温める効果とジンゲロールの免疫力アップ効果両方を得ることができます。

また何にでも生姜をかける方もいらっしゃるそうですが、多量に摂取することで口内や胃腸を痛める可能性があります(通常の摂取では問題ないと言われています)。何事も適量が大切ですので、ありとあらゆるものに大量に生姜を入れる・かけるのは止めておきましょう。胃腸が弱い方や疾患のある方は特に注意するようにしてください。