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胡椒(コショウ)の成分と体を温めてくれる可能性

胡椒(コショウ)とは

コショウイメージ

唐辛子、マスタードと並んで世界三大香辛料の一つとされる胡椒(ペッパー)。インド原産地で紀元前のうちにヨーロッパへと伝わり、食材保存や薬として用いられたこともあり、紀元前から中世末期~近世までヨーロッパでは貴重で高価なスパイスとして君臨し続けました。

大航海時代や十字軍遠征は胡椒を求めて起きたとする説もあり、胡椒の歴史は戦争や略奪と切っても切れない存在です。現在でも胡椒が「スパイスの王様」と呼ばれているのは普及性だけではなく、歴史上の重みも含まれているのかもしれません。


ピーク時には「胡椒1粒は黄金1粒」とまで言われた胡椒ですが、1600年代からは価格が低下しはじめ、1800年頃に各地での栽培が行われるようになると一気に価格が低下して身近な食材として親しまれるようになります。
ちなみに日本はヨーロッパを中心とした“胡椒バブル”とはあまり関わりがなく、平安時代から唐辛子伝来(1500~1600年頃)まで辛味を付ける調味料として利用されており、江戸時代には薬味として庶民にまで広く親しまれていたようです。

胡椒(コショウ)の成分が冷え性の解消に繋がる理由

貧血・血行不良改善

胡椒の辛味成分である、アルカロイドの一種「ピペリン」にはフリーラジカルや活性酸素による酸化ダメージから体を守ってくれる抗酸化作用があることが分かっています。血管を広げて血流を促進する働き(血行促進作用)もあり、抗酸化作用と相乗して血液循環をスムーズに整える働きが期待出来ます。
温かい血液が末端まできちんと流れるようにサポートしてくれるため、特に末端冷え性の方は食べてすぐに「温まり感」を感じる方も多いようです。

また胡椒(黒)は100gあたり20mgと鉄分を豊富に含んでいます。実際に一日に摂取する量を小さじ1杯、2gとした場合でも鉄分含有量は0.4mgで、貧血に良いと言われているプルーンやライチなどの果物200g分に相当します。
一日推奨摂取量から見ると0.4mgという鉄分量は多いとは言えませんが、何料理にでも使えるスパイスですので手軽に鉄分をプラスできるというメリットがあります。血液・ヘモグロビンの不足改善も冷え性や様々な不調の改善に繋がります。

またブラックペッパーの芳香成分にも血流改善効果が期待できることから、精油も冷え性改善に利用されています。
⇒ブラックペッパー精油についてはこちらを御覧ください

代謝を高めて熱を生む

ピペリンは抗酸化・血行促進作用のほか、唐辛子のカプサイシンなどと同様に神経伝達物質であるアドレナリン(エピネフリン)の放出を促進する作用があることも報告されています。アドレナリンはエネルギー代謝を促進する働きがあります。一時期話題になった「カプサイシンダイエット」のように代謝を高めることで、脂肪燃焼の促進や体温上昇による冷えの改善効果が期待出来るということです。

唐辛子に含まれるカプサイシンの場合は作用が強く、摂取しすぎると精神障害などの副作用を起こすことが示唆されています。しかし胡椒のピペリンは作用が比較的穏やかなため、安全性が高く過剰摂取をしなければ毎日食べ続けても問題ないと言われています。

その他、唐辛子の成分に期待できる効果

消化機能のサポートに

香辛料/スパイスとして使われるものの多くがそうであるように、胡椒にも食欲増進や消化促進(消化酵素の分泌促進)効果があります。この働きもまたピペリンの作用によるものですし、直接的な消化器官刺激だけではなく血行促進作用によって胃腸に十分な血液を送り込み胃腸の働きを活発化する働きもあります。お腹を温めることにもなるため冷えによる腹痛・消化不良・下痢・便秘などの緩和効果も期待できます。

またピペリンは消化器系への血液供給を増やすことで消化吸収や栄養素の体内輸送を助ける働きによって、一緒に摂取した他の食材に含まれている栄養素の吸収・利用率を高めることが認められています。

美肌・アンチエイジングに

冷え性改善だけではなく健康維持に役立つ様々な働きを持つ胡椒の有効成分ピペリン。ピペリン自体に抗酸化作用もありますのでお肌アンチエイジングにも役立ちます。また胡椒自体から十分な量の「美肌成分」と呼ばれる栄養素を摂取することは出来ませんが、胃腸の調子を整えたり、栄養吸収を高める働きがありますので、緑黄色野菜などと組み合わせて摂取することで他の食材のパワーを引き出してくれると考えられます。

栄養素の吸収を高めるほか血行促進し栄養素の体内輸送を助ける働きもありますから、お肌にしっかりと栄養を届けるという点でも美肌作りをサポートしてくれるでしょう。特に貧血や血行不良による肌のくすみや乾燥・ゴワつきがある方にはオススメです。

参考:胡椒(コショウ)の栄養成分・効能・美容効果・食べ合わせ

胡椒(コショウ)の種類と注意点

ペッパー色々

現在日本でも馴染みのブラックペッパーやホワイトペッパーをはじめ、爽やかな香りのグリーンペッパー、フルーティーさのあるピンクペッパーの4色が流通していますが、すべて原材料は同じ胡椒の実

緑色をした未熟な実を皮ごと天日乾燥させたものがブラックペッパーに、機械乾燥もしくは塩漬けしたものがグリーンペッパーになります。また 完熟して赤色になった実の皮をむいてを乾燥させたものがホワイトペッパー、外皮付きのまま塩漬・機械乾燥させたものがピンクペッパーになります。


ブラックペッパー(黒胡椒)とホワイトペッパー(白胡椒)はほぼ間違いありませんが、サンショウモドキ属の「サンショウモドキ」「コショウボク」、ナナカマド属の「セイヨウナナカマド」の実などもピンクペッパーと呼ばれているため購入時には注意が必要です。胡椒の実から作られたものは色がくすんだ赤色をしています。

ちなみにレッドペッパーは唐辛子を指しますし、グリーンペッパーは緑胡椒(青胡椒)のことだけではなくピーマンのことを呼ぶ場合もあるそうです。○○ペッパー系の名前は間違われやすいので海外旅行時や通販などでは気をつけてください。