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山椒の成分と体を温めてくれる可能性

山椒(サンショウ)とは

山椒イメージ

日本で古くから使われてきた薬味(スパイス)ながら、実は縄文時代の遺跡からも出土しており“日本最古のスパイス”とも言われる歴史ある香辛料。使用してきた期間は生姜よりも断然古いと言われています。

がしかし、一時期海外で人気が出ている食材・アルツハイマー型認知症への効果が期待される食材としてTVなどで取り上げられていましたが、お料理に山椒が欠かせないという方よりは「うなぎを食べる時に使うかなぁ…」という方のほうが多いのではないかと思います。


知名度は高い割にイマイチ馴染みのない山椒ですが、七味唐辛子やソース類などの加工品に配合されている事も多いようです。山椒そのものとして認識していなくとも、意外と口にしている存在なのかもしれませんね。鰻のイメージが強すぎるきらいもありますが、お味噌汁からアイスクリームまで意外となんにでも合う万能スパイスでもあります。山椒を加えると減塩にもなるので一石二鳥なのだとか。

ちなみに山椒は漢方の生薬としても利用されています。日本薬局方でも種子をできるだけ除いた果皮ものを生薬・山椒(サンショウ)として登録されていますし、お正月に飲む薬酒“お屠蘇(屠蘇散)”に山椒が含まれているのも生薬として利用されていたためですね。鰻とセットで見慣れている粉山椒も熟した実の皮を乾燥させたものなので生薬とほぼ同じと言えます。そのほかに若葉は“木の芽”・未熟な果実は“青山椒(実山椒)”・花は“花山椒”として食用にされています。

山椒の成分が冷え性の解消に繋がる理由

内臓機能・代謝を高める

香辛料として利用することの多い果実(山椒の実)の場合、実際に口にする量は少量のためビタミンやミネラル類の補給源とはなりにくい存在です。しかし辛味成分と言われるサンショオールサンショアミド精油成分のゲラニオール・シトロネラール・フェランドレン・リモネンなどの働きで少量でも人体への働きかけが期待されています。

冷え性の改善としては、サンショオールやサンショアミドは大脳を刺激することで内臓機能を高める働きがあると考えられています。この働きによって健胃・整腸剤のような働きが期待されていますし、内臓機能が活発化することで“腹部の冷えから起こる腹痛”などの軽減にも良いとされています。漢方や民間療法で腹部の冷えを取るのに適した素材とされるのもこの働きのためと考えられます。
加えて近年はサンショオールに脂肪燃焼促進作用が見られたという報告もなされており、内蔵機能を高めること+αの代謝向上効果・メタボリックシンドローム予防などへの働きも期待されています。

血行促進にも期待

山椒は血行促進作用が期待されている存在でもあります。これはサンショオールに血管平滑筋を弛緩させる働き=血管拡張作用があると考えられているところが大きいようですが、そのほかリモネンなどの精油成分にも血行促進作用あるとされているものがありますから複合しての働きが期待できるでしょう。加えて山椒に抗酸化力を持つポリフェノールが含まれていること報告されていますから、血液や血管の状態を整えることでも血流をサポートしてくれると考えられます。

また山椒は「むくみ緩和に役立つ」食材として紹介されることもあります。100gあたりの含有量でみるとカリウム含有量なども高くなりますが、実際摂取する量を考えると血液循環が良くなることが大きいのではないかと思われます。
ちなみにヘソの少し下に山椒の実を貼り付けると冷え性緩和になる・代謝が上がるという民間療法もあるようです。

その他、山椒の成分に期待できる効果

胃腸の不調緩和

上記と被りますが、山椒の辛味成分であるサンショオールやサンショアミドは大脳を刺激して内臓の機能を活発にする働きがあります。この働きから消化不良や胃もたれなどの緩和に役立つとされていますし、精油成分(香り)も食欲増進や消化促進をサポートすると考えられています。

加えて精油成分のジペンテンやフェランドレンには鎮痛・抗炎症作用や胃酸分泌を調整する働きなども期待されています。消化機能低下による胃腸トラブルだけではなく、ストレス等に起因する神経性の不快感や夏バテなどの軽減にも役立ってくれそうですね。抗菌殺菌効果も高いので食中毒予防にも良いと言われています。

集中力アップ

辛味成分のサンショオールなどは脳を刺激することで覚醒させる働きがあり、脳波を測定した実験では唐辛子よりも脳への覚醒作用が強いことが報告されています。精油成分のシトラールにも集中力向上効果や精神安定をサポートする働きが期待されていますから、相乗して頭をシャッキリとさせる働きが期待できそうです。

土用の丑の日に食べる鰻に山椒が必需品なのは“鰻の脂っこさに胃腸が負けないように”と言われていますが、山椒の脳への刺激作用も夏バテでどんより・ぐったりしている気分回復に役立ってくれるのかもしれませんね。

参考:山椒の栄養成分や期待される効果効能・食べ合わせ紹介

山椒の注意点

山椒の成分は少量であれば有用性が高いと考えられていますが、過剰に摂取すると神経への麻痺作用などを引き起こす危険性もあります。薬味感覚での摂取ではさほど危険はありませんが、山椒の実を大量に食べるなどは避けましょう。

市販されている乾燥、特に粉末状になったもの(粉山椒)は空気に触れているとすぐに風味が落ちてしまいます。密閉容器に入れて空気に触れる部分を減らし冷蔵庫もしくは冷凍保存すると劣化を防げます。デイリーに使う場合は粉山椒よりも実(ホール)をミルで挽くタイプの方がオススメです。