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山芋の栄養成分と冷え解消について

山芋/長芋とは

長芋

正式には自然薯など日本古来の種類は「ヤマノイモ」、スーパーなどで販売されている粘り気が少なくシャキシャキした食感の「ナガイモ」の二つに大分されます。地域や販売店などによって名称は混同されることも多く、栄養価的にも長芋と山芋の区分はもちろん種によって栄養成分の含有量に差があります。

しかし含まれている成分自体の違いは少ないため、当サイトでは長芋/山芋として同じページで栄養成分・冷え性への改善をはじめとする期待出来る効果をご紹介させていただきます。


ちなみに乾燥させたものは欧米ではチャイニーズヤム(Chinese yam)という名前でハーブとして、日本や中国では「山薬」という生薬としても利用されています。あまり馴染みはないですが、スライスして乾燥させた山芋や長芋をお湯で煮出したハーブティーも飲まれています。

長芋/山芋の成分が冷え性の解消に繋がる理由

筋肉量・代謝を向上する

長芋には成長ホルモンの分泌に関わるアミノ酸「アルギニン」を含んでいます。成長ホルモンは筋肉量増加や脂肪代謝(燃焼)を促進させる働きがあるためダイエット成分としても注目されていますが、代謝をアップすることで基礎体温向上・冷え性の改善にも効果が期待出来ます。

血行を促進する

アルギニンは体内で一酸化窒素を作り出し、一酸化窒素によって血管を拡張させ血流をスムーズにする働きがあります。

また同様に長芋に含まれているサポニンもまた血流、特に毛細血管の血流を改善する効果が期待されている成分です。毛細血管を拡張して血流を促すだけではなく、サポニンは強力な抗酸化作用により血中の中性脂肪やコレステロールなどの脂質の酸化を防いで血液をサラサラに保つ効果があり、血管内に付着した脂肪を洗い流す働きもあると考えられています。

長芋は代謝の向上と、代謝の際に発生する熱を巡らせるための血行促進、両方の面から冷え性の改善効果が期待出来る食材です。

その他、長芋/山芋の成分に期待できる効果

疲労回復・強壮に

長芋(山芋)の効果として、古くから知られていた働きが「強壮」効果ではないでしょうか? 薬膳でも長芋は脾・肺・腎の三臓を強める滋養強壮効果の高い食材としてよく利用されていますし、乾燥させたものは「山薬」という生薬名で滋養強壮や胃腸保護として漢方に配合され、スーパーで買える身近な生薬の一つとも言われています。

長芋が滋養強壮に良いと言われているのは勿論芋でありエネルギー転換の早い炭水化物が多いこともありますが、消化促進に役立つ消化酵素アミラーゼやジアスターゼを含んでいることや、タンパク質の消化・吸収を助けるムチン」が豊富であることも大きく関係しています。

また長芋のネバネバの元となっているムチンは胃腸の粘膜を保護修復する働きもあり、ストレスや暴飲暴食で機能が低下していたり、炎症・傷ついた胃腸の機能を回復させる働きがあります。これらの成分が胃腸機能を高め、摂取したものの栄養素の消化吸収を促進させることで、より高いスタミナ増強効果や疲労回復効果を得られるというわけです。免疫力アップにも役立ちます。

ダイエットに

長芋に含まれているアルギニンは成長ホルモンの分泌を促すことで、脂肪代謝を向上させる働きがあるとして「燃焼系」のダイエットサプリメントなどにもよく配合されている成分です。長芋はビタミンB群も含んでいますので脂肪以外の代謝促進にも効果が期待出来るでしょう。成長ホルモンには食欲を抑える働きもありますから食べ過ぎ防止にも役立ちます。

また苦味成分とも言われるサポニンはブドウ糖と脂肪の合成を抑制し、脂肪吸収・蓄積を抑える効果が、ムチンは腸内環境を改善して代謝低下を防ぐ働きが報告されています。代謝向上に加えて脂肪の吸収や蓄積防止にも効果が期待できる、肥満予防効果に高い期待が持てる食材と言えるでしょう。

そのほかにも長芋は100gあたり2.0gの食物繊維(うち不溶性1.4g、水溶性0.6g)を含み、カリウムも550mgと野菜類ではトップグループに入る含有量があります。便秘やむくみなどをスッキリさせるためにも役立ってくれるでしょう。ネバネバ成分のムチンも腸内で便をスムーズに排泄させるための潤滑剤として働くと考えられています。

美肌・アンチエイジングに

長芋は強い抗酸化作用をもつサポニンをはじめ、抗酸化に役立つビタミンEが100gあたり4.1mgと非常に豊富です。同様に抗酸化作用のあるビタミンCも含んでいますし、長芋は生で食べることが多いため調理によるビタミンCの減少も少なく済ませることが出来ます。サポニンやビタミン類などの複合効果で高い抗酸化作用が期待できますから老化防止(アンチエイジング)にも役立つ食材と言えるでしょう。

そのほかに基礎体温向上や血行促進、便秘の解消などから二次的にではありますが美肌効果・肌荒れ防止効果も期待出来ます。またアルギニンには肌の保湿効果が、ムチンには粘膜や皮膚の潤いを維持する働きがあると言われており乾燥肌予防にも効果が期待出来ます。

近年は長芋に含まれる「ディオスゲニン」という成分がホルモンの原料となるDHEAを増加させ、若々しさの維持・ホルモンバランス調整・肌代謝の活性化などにも役立つのではないかと考えられています。

参考:山芋/自然薯の栄養成分・効能・美容効果・食べ合わせ
長芋の栄養成分・効能・美容効果・食べ合わせ