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ニンニクの成分と体を温めてくれる可能性

大蒜(ニンニク)とは

ガーリックイメージ

ニンニクは紀元前4000~3000年前にはエジプトで食用・薬用として利用されており、人間との関わり・栽培の歴史が最も古い部類の野菜と言われています。

ニンニクはネギ科の多年草で、普段食している実のような部分は鱗茎(球根)です。ホクホクとした食感からじゃがいもに例えられることもありますが、植物学上は玉ねぎの仲間で、スタミナや滋養強壮に良いとされる非栄養性機能物質の特徴もネギ科の食材と重なるところが多くあります。

健康に良いというイメージは広く持たれているものの、ニンニク食べるのをためらうのが独特の臭気。基本的に生のものよりも加熱したもの・酢漬けにしたもののほうが臭気は薄れると言われていますが、やはり気なる方も多いのではないでしょうか?

食事直後の口臭対策については人それぞれに効果が分かれるようですが、臭いを早く抜くには水分を多めに摂り、半身浴や有酸素運動などで汗を流すと良いようです。健康維持や冷えの解消に嬉しい食材ですので、臭いが不安な方は休みの前日などから取り入れてみてください。

ニンニクの成分・期待できる効果

ニンニクの働きや効果と言われて一般的なのは疲労回復・スタミナ増強などの働きではないでしょうか? ニンニク自体も100g中の栄養価を見ると非常に栄養豊富な食材ではありますが、ニンニクをそう大量に食べる機会はあまりないですから、ニンニクの臭気の元の1つであり有効成分と言われる「アリシン(硫化アリル)」の働きによるところが大きいと考えられます。

アリシンは糖のエネルギー代謝に必要なビタミンB1と結合することで「アリチアミン(活性持続性型B1)」という物質に変わります。アリチアミンになることでビタミンB1単体の時よりも体への吸収率が良くなり、血中に留まっていられる時間も持続します。
その結果、ビタミンB1の働きである糖のエネルギー代謝が活発化して疲労回復や体力・スタミナの増強などに繋がるのです。

加えて硫化アリル類には殺菌・抗菌・抗ウイルス作用がありますから風邪やインフルエンザなどの感染症予防に、ビタミンB1には糖代謝を正常に行うことで脳までしっかりと栄養を届けて精神安定や鎮静などにも役立つと考えられています。

直接的に体のエネルギー転換を助けるだけではなく、風邪などの予防や精神安定・抗ストレスなどの働きと相乗することで、慢性疲労感や風邪を引きやすい、なんとなく体が重い、だるいなどと言ったスッキリしない体調の改善も期待できるでしょう。

ニンニクが冷え性の解消に繋がる理由

①血流を改善する

生のニンニクはアリインという硫黄化合物が含まれており、細胞が傷つけられることによってアリシンに変化します。アリシンは毛細血管を拡張することによる血行促進作用がありますし、強力な抗酸化作用を持ち中性脂肪・悪玉コレステロールを低下させ血液をサラサラにする成分としても注目されています。

血行不良を起こす大きな要因として血液がドロドロ状態になっていること・血管が収縮していることが挙げられますが、ニンニクに含まれている成分は血液の状態と血液が流れる道である血管の状態、この2つを改善する効果が期待できると言えます。

②熱生成をアップする

アリシンはビタミンB1と結合することでビタミンB1の働き=栄養(糖質)を燃焼させてエネルギーに変える働きを高める働きがあります。代謝が促進されるとそれに伴って体内での熱生産も向上しますし、その熱が血流に乗って体内を巡ることで冷えの改善が期待できるでしょう。ニンニクと合わせてビタミンB1が豊富な食材(豚肉・豆・雑穀など)と摂取するとより効果的です。

アリシンを加熱することで出来る「スコルジニン」という成分もアリシンと基本的な働きは同じですが、より作用が強いとされています。加熱してもすべてがスコルジニンに変換されるわけではないのでアリシンとスコルジニンがダブルで働くことでの相乗効果も期待出来ます。

参考:にんにくの栄養成分・効能・美容効果・食べ合わせ

ニンニクの注意点

にんにくの食べ方

ニンニクはすりおろした「生」のものを使用することもありますが、生にんにくは空腹時に摂取することで胃腸障害を起こす危険性があります。また過剰摂取によって腸内の善玉菌まで殺菌してしまうことで、ビタミンB2不足などに陥る可能性もあります。

冷え改善という観点で見ても、漢方などの考え方では生ニンニクは陰性=体を冷やす食べ物として扱われていますから、きちんと火を通したものを食べたほうが安心感があります。


生のニンニクは空腹時の摂取・大量摂取は控えるようにしましょう。