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冷え対策・風邪予防に柚子風呂

柚子とは

柚子

日本人にとっては親しみのある柑橘類の一つで、和を感じさせてくれる柚子(ゆず)。ポン酢や柚子胡椒など食品としてはもちろんですが、香りも好き嫌いがなく万人受けすることから化粧品や芳香剤などの香料としてもお馴染みです。

柚子の原産地は中国あたりと考えられていますが消費・生産ともに日本が最大で、香味・酸味を与える引き立て役として和食の中でも欠かせない存在ですね。そのためか英語でも日本語そのままの「Yuzu」が呼称として使われているのだそう。


柚子の基本作用

食品としての成分をみると100gあたり柚子果皮160mg/果汁40mgとビタミンCが非常に多く、他ビタミン類やミネラル類、クエン酸などの有機酸も含んでいます。ビタミンCは抗酸化作用や美白効果が取り上げられることが多い存在ですが、免疫力向上や疲労回復促進などの働きも期待されている成分。柚子にはクエン酸やリンゴ酸などの有機酸も含まれており、スッキリとした香りによるリフレッシュ効果も期待できるので疲労回復に良いと言われています。

そのほかポリフェノールであり“ビタミンP”とも呼ばれているヘスペリジンが含まれていることから、ビタミンCと合わせてアンチエイジング(抗酸化)や美肌効果も期待されています。ヘスペリジンは抗酸化作用以外に悪玉コレステロールの低減・血圧降下作用なども報告されていることから生活習慣病予防に良いとする説もあります。

ただし柚子は香酸柑橘に分類される通り、ミカンのようにたくさん食べることはほとんど無い存在。感覚としては食材というよりも調味料のほうが近いでしょう。例えばゆず果汁を料理に少しかけるだけで抗酸化作用が十分発揮されるか・ビタミンCがしっかり補給できるかは微妙なところではあります。このため柚子に期待される働きのいくつかはリモネンなどの芳香成分によるところが大きいのではないかとも考えられます。

柚子が冷え解消に役立つ理由

柚子

柚子にはヘスペリジンや精油成分など血行をサポートしてくれる成分が含まれているため、柚子は血行促進効果が期待できる食材の一つも数えられています。

またリモネンやα-ピネンなど血行促進効果が期待できる精油が多いことから、柚子を実際に摂取せず香りを楽しむだけでも冷え軽減に良いのではないかと言われています。柚子のエッセンシャルオイル(精油)は温かみのある香りであることもあり、冷え対策や冬場に取り入れられているようです。


精油の場合は精油成分による働きのみですが、柚子をそのまま入浴剤として使った場合はヘスペリジンやビタミンC・クエン酸など様々な成分もお湯に溶け出すと考えられます。ヘスペリジンにも血行促進作用があるのではないかと考えられていますから、精油成分と相乗して体を温める働きが期待できるでしょう。柚子だけではなくオレンジやレモンなどが冷え性軽減用の入浴剤として使われるのも、精油成分やヘスペリジンなど同じような成分が多いためと考えられます。

そのほか精油成分を含む油分がお湯に溶け出ることで皮膚をコーティングし保温力を高める働きも期待できます。柚子の優しく爽やかな香りはリラックス効果やリフレッシュ効果もあるとされていますから、ストレスから起こる自律神経の乱れ予防などにも役立ってくれるでしょう。

【冬至のゆず湯も冷えに良いから?】

柚子を使ったお風呂というと冬至の“ゆず湯”が知られています。冬至にゆず湯に入る風習ができたのはじまりは日が短い=太陽の力が一番弱くなった時に行われる禊(みそぎ)だったと考えられています。厄を払うために体を清めることで運を回復させ、再び長くなる日とともに運気を高めようという意味合いだったのだとか。

それがゆず湯になった理由としては香りの強いものは邪気を払うと考えられていた・冬至が湯治に柚子が融通に通じることから「融通が利くほど息災」という言葉遊びで選ばれたなど諸説あります。現在でも柚子の香気には抗菌・抗ウィルス作用があること、ゆず湯は身体を温める働きがあることが分かっていますから、捉え方は違えど昔の邪気祓い説・息災説も馬鹿にできないのかもしれません。

ゆず湯に入ると風邪を引かない」という言葉通り寒い冬至にゆず湯に入ると体が温まり風邪予防になる、昔の人からすると健康でいられる=幸運だったという現実的な見方もあります。

柚子風呂の方法・作り方

柚子風呂の作り方は様々なバリエーションがありますが、シンプルで簡単な方法は柚子を洗って丸ごと風呂に浮かべるというもの。この方法だとユズエキスが出にくいと言われていますが、柚子には皮膚を刺激する成分も含まれているので最も皮膚刺激が低い方法でもあります。お肌が弱い方や、はじめてゆず湯に入るという方の場合には“柚子をそのまま浮かべる”方法が適しています。お風呂に入る時に一緒にゆずを入れてもほとんど香りは感じられませんので、少し熱めにお湯を張って入浴する1時間~30分前から柚子を浮かべておくと良いでしょう。

柚子を浮かべてもピリピリ感などを感じず平気だった場合は、柚子に切り込みを入れる→柚子を半分に切る→輪切りにして入れるという順番でお湯に溶け出す成分量を増やすことが出来ると言われています。使う柚子の量を増やしても良いですが、輪切りにして使った方が経済的でもありますね。スライする場合は5mm~1cmくらいの厚さが良いそう。ネットに入れて使うと後片付けが楽になりますし、排水詰まり対策にもなりますよ。

そのほかに柚子の皮を剥いて細めに切り、乾燥させておくという方法もあります。こちらもほぼ同様の効果が期待できると言われていますし、作り溜めておけば柚子が流通していない期間にも使えるのが最大のメリットですね。香気が薄れている=精油成分による働きは若干低下しているとも考えられますから、と組み合わせて使うのもオススメです。

上でも触れましたが柚子は皮膚刺激があるため敏感肌やアトピーがある方などは使用に注意が必要です。敏感肌の方は柚子をそのまま浮かべるだけでもピリピリ感を感じる・肌が赤くなるなどの皮膚にダメージを受ける可能性がありますので、洗面器などを使って事前にパッチテストを行いましょう。また光毒性のある成分を含んでいるので、使用後は日光など紫外線を避けるようにします。

こんな嬉しいオマケも

【安眠・疲労回復】

柚子をはじめ柑橘系に多く含まれているリモネンという精油成分には鎮静(リラックス)効果が報告されています。成分的なことはさておき柚子の香りになんとなく「ほっこり感」を感じる方も多いのではないでしょうか。

柚子の香りはストレス対策などにも役立つと考えられていますし、神経系の興奮を鎮めることで安眠を促す働きも期待されています。体も温まるのでお休み前にもぴったりですね。また血行が促進されること・睡眠を促してくれることから柚子湯は疲労回復にも良いと言われています。

【生理痛やむくみにも】

体を温める働きがあるとされることから、柚子のお風呂は筋肉痛や神経痛・関節痛・リウマチなどの痛み軽減にも良いと言われています。冷えから悪化している生理痛の軽減や、便秘・下痢などお腹の不調にも役立ってくれるでしょう。

血液循環が良くなり冷えが軽減されることに加え、柚子湯には発汗・利尿作用があり体の余分な水分の排出を促してくれるとする説もあります。このためむくみの緩和にも効果が期待されていますし、血行促進から代謝向上に繋がる=ダイエットサポートにも良いのでは、なんて説もあるようです。

【ニキビ予防・美肌】

柚子にはクエン酸や精油成分のリモネンなど抗菌作用を持つ成分、ビタミンCやヘスペリジンなどの抗酸化物質が含まれています。このため肌を清潔に保つことに役立つと考えられ、収斂作用による皮脂分泌抑制効果も期待できることからニキビ予防にも良いとされています。

またクエン酸が含まれているため角質や角栓の除去(ピーリング)にも繋がると考えられます。血行促進と合わせてゴワゴワした角質が気になる方にも役立ってくれそうです。ただし刺激が強いので肌の調子が悪いときや敏感肌の方は注意が必要。強くこすったりするのも避けましょう。