冷えとり:亜鉛>>
亜鉛は体の形成・機能バランスを整えるミネラル
亜鉛とは

必須ミネラルの一つである亜鉛も他ミネラルと同様に動物性食品や種実類を始めとする多くの食材に含まれており、吸収率こそ低いものの通常の食生活で不足することは少ないと言われています。
しかし食品加工の過程で失われやすいためインスタント食品などを多く食べている方は不足しやすい傾向にます。また細胞(タンパク質・核酸)合成に関わる成分であり、アルコール分解時や 精神的・肉体的にストレスを感じた時などにも消費されていくため、現代人が不足しやすいミネラルの一つにも数えられています。
- 1日推奨摂取量
- 成人男性:10mg
成人女性:8mg(妊娠中は+2mg・授乳中は+3mg) - 1日耐容上限量
- 成人男性:40~45mg
成人女性:35mg - 不足による症状
- 味覚障害、貧血、生殖能力低下(精力減退・精子数減少・月経不順・ホルモンバランスの乱れ)、免疫機能低下、皮膚炎症、視覚障害、抑鬱など
※子どもの場合は成長遅延 - 過剰摂取の症状
- 通常の食生活で過剰症を起こす心配は低いとされています。サプリメントなどによる大量摂取はめまい、吐き気、胃痛、銅欠乏性貧血、腎臓・膵臓・胃腸障害などを起こす可能性があるため注意。
亜鉛の代表的な働き
亜鉛は生体では鉄の次に多い必須微量元素で、細胞全体に広く存在しています。主な働きとしては酵素の構造形成と維持とされており、200以上もの酵素の働きを支えている存在とも言われています。亜鉛は人の身体・生命を維持するのに必要な様々な酵素の構成に必要とされるミネラルですから、細胞分裂・新陳代謝・ホルモン分泌・免疫機能など様々な働きに関係しています。イメージとしてはマグネシウムに近いですね。
亜鉛の欠乏で起こる症状として“味覚障害”や“精力減退”がよく取り上げられていますが、これは細胞分裂が盛んな部位である舌の味蕾や生殖細胞の形成が上手く行われなくなり、機能が低下してしまう為だと言われています。妊活サプリなどにもよく配合されていますね。また細胞分裂が盛んに行われる胎児~成長期までの子どもにも欠かせない栄養素でもありますね。亜鉛が必須ミネラルであることが発見されたのも、子どもの成長遅延に関わる研究でなのだとか。
そのほか亜鉛は免疫細胞を活発化させるホルモン分泌に関与していることから正常な免疫機能の活動維持に、脳の神経伝達物質の合成に関わるため脳機能向上や精神安定などにも関係していると考えられています。より身近なところであればアルコール脱水素酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ)の構成成分でアルコール分解に必要なこと・肌や毛髪の維持に欠かせない存在であり不足すると皮膚炎症や抜け毛の原因になることなども紹介されており、健康や美容のために取り入れているという方も少なくないでしょう。
近年ではインスリンの生成に必須で作用の維持にも関係していることから糖尿病予防に、抗酸化やデトックスサポート成分としてもサプリメントなどに亜鉛が配合されています。
亜鉛と冷え性の関係
ミネラルバランスの面以外ではあまり冷え性とは関係の無さそうに感じられる亜鉛ですが、実は様々な方面で冷え性にも関係している栄養素と言えます。これは亜鉛は200種類近くの酵素の働きをサポートする補酵素であり、身体を維持するために必要なタンパク質の合成・代謝機能の保持にも必要な存在であることも大きいでしょう。
加えて亜鉛は血液そのものの合成・スムーズな血流の保持にも必要なミネラルです。貧血と言うとヘモグロビンの原料となる鉄分の不足(鉄欠乏性貧血)がよく知られていますが、タンパク質の合成に関わる亜鉛も不足すると赤血球膜の生成に支障が生じ赤血球膜がもろくなる=赤血球が壊れやすい状態になるため貧血(亜鉛欠乏性貧血)の原因となります。またビタミンCと共にコラーゲンの生成にも関わっている栄養素でもあるため、亜鉛不足を起こすと血管の丈夫さ・しなやかさが低下することからも血液循環の滞りに繋がると考えられています。
また亜鉛は男性用の精力増強というイメージが強いミネラルですが、エストロゲンの分泌にも関与しており男女ともに生殖機能・ホルモンバランスを正常に保つためにも必要な存在です。女性の場合は一月の間にホルモンバランスの分泌量が変化しており、この分泌サイクルの乱れが自律神経の乱れに繋がり冷え性の原因となる事も指摘されていますから、ホルモンバランスの乱れ予防という面でもバランス良く補いたい栄養素と言えますね。
亜鉛と合わせて摂りたい栄養素

動物性たんぱく質
亜鉛は様々な食品に含まれていますが、穀物や豆類に含まれているフィチン酸・野菜などに多く含まれている食物繊維(不溶性食物繊維)などと合わせて摂取することで体内への吸収が低下(阻害)されてしまいます。
動物性たんぱく質は亜鉛の吸収率を高める働きに加え、食物繊維やフィチン酸の影響を低下させる働きがあるとされていますので一石二鳥。亜鉛そのものも野菜・果物よりも肉類などの方が含有量が高いですから、ナッツ類などをたくさん食べるよりは適量の動物性食品を取り入れると効率的でしょう。
クエン酸&ビタミンC
亜鉛だけではなく鉄分やマグネシウムにも言えることですが、クエン酸にはミネラルの吸収率を高める働きがありますので合わせて摂取すると効果的とされています。これはキレート作用と呼ばれる、ミネラルを挟みこむようにして吸収しやすい状態へと変化させる働きがあるためです。
ビタミンCはこのクエン酸のキレート作用を助ける働きがありますし、亜鉛と協力してコラーゲンを生成してくれる成分でもあります。血管の状態やお肌のアンチエイジングのためにも合わせて摂りたい栄養素と言えるでしょう。
亜鉛補給におすすめの食材

亜鉛を豊富に含む食材として代表的なのが牡蠣。生牡蠣100gあたりの亜鉛含有量は13.2mg、むき身で3個程度食べると一日の摂取量をカバーできるほど。吸収を高めてくれる酢やレモンとも相性が良いですね。
しかし毎日とは言わずとも定期的に牡蠣を食べるのはなかなか困難ですから、牛肉を取り入れるのがおすすめです。牛肉100gあたりの亜鉛含有量は部位にもよりますが概ね4mg前後。同グラムあたりの含有量で比較した場合は牡蠣よりもかなり劣りますが、取り入れやすいのですし、動物性タンパク質も摂取できますから補給に役立ってくれるでしょう。
コーヒーや紅茶に含まれているタンニン・加工食品の添加物であるポリリン酸(重合リン酸塩)などは亜鉛の吸収を阻害してしまいますので、食べ合わせには注意するようにしましょう。飲食前に飲むダイエットサプリメントなども不溶性食物繊維を主体としているものは避けたほうが無難です。
ちなみに亜鉛は沢山摂取すれば良いというものではなく、他のミネラルとのバランスも非常に重要。通常の食材からの摂取であれば余剰分は膵液を通して排出されますから問題となることはほぼ無いと言われていますが、サプリメントなどで継続的に過剰摂取した場合には亜鉛過剰症を起こす危険性もあります。
銅や鉄の吸収阻害を起こすことにも繋がりますので、貧血予防に亜鉛を摂っていたのに貧血が悪化した…なんてことにもなりかねません。色々な食材・栄養素をバランスよく摂ることを心がけましょう。