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寒暖差疲労による自律神経の乱れ・冷え

寒暖差疲労について

寒暖差イメージ

寒暖差とはそのものズバリ気温の差で、天気予報などでは1日の最高・最低気温の差を表すのに利用されています。健康面的な捉え方の場合は、室内外問わずに体が置かれている温度の差が概ね5℃以上(10℃以上とする場合もある)の場合も指すことが多いです。

春や秋など外気温の気温差が大きな季節の変わり目はもちろんですが、夏や冬の空調によってコントロールされた室内と屋外の気温差も寒暖差ですから、現代はほぼ一年中この気温差・寒暖差が身の回りにある状態と言えそうです。


私達人間を含む恒温動物の体は生命を維持するために、外の気温が暑い時は放熱を、寒い時には加熱・保温を行うように出来ています。しかし寒暖差の激しい環境においてはこの“熱を作る”と“熱を逃がす”という指示・対応の切り替えを激しく行わなくてはいけなくなり、気温が一定に保たれている場合の数倍のエネルギーを消耗すると考えられています。

自律神経の激しい切り替えは気づかぬうちに負担となり、疲労の原因物質であるタンパク質の一種FF(ファティーグ・ファクター)を発生させるとも言われています。この寒暖差(気温差)によって引き起こされる疲労が「寒暖差疲労」と呼ばれています。激しい運動や無理をした覚えがないのに、なんとなくだるい・ぐったりと体が重いように感じるのもこのためなのだとか。

寒暖差による自律神経の乱れと冷え性

寒暖差イメージ

寒暖差はエネルギーを消耗させ、疲労物質を作り出すことで私達の体を疲れさせます。がしかし、単に疲労感を感じるだけではなくもっと悪いことに自律神経を疲れさせて、その機能を低下させてしまう可能性もあります。

先ほど寒暖差を「5℃以上の差」として紹介させていただいたもの、実はこの自律神経との関係にあります。自律神経がバランスを崩しやすくなるボーダーラインが5℃以上の温度差と考えられているためです。7℃以上の気温差がレッドカードだとする説もあります。

なぜ寒暖差疲労によって自律神経のバランスが乱れるかといえば、寒暖差の対応に一番振り回されている温度調節機能を司る存在だから。生きていくうえで適切な体温を維持しようとした自律神経がオーバーワーク状態にになってしまい、交感神経と副交感神経がバランス良く切り替えにくくなります。

加えて血管の外側にある筋肉が寒暖差疲労によって硬直してしまっているため、血管が圧迫されたり、ポンプとしての機能が低下し血行を悪化させます。血流が悪くなることで冷えを起こしますし、自律神経の負担が増してさらに自律神経のバランスが乱れる…という悪循環も引き起こす可能性があります。自律神経失調と冷えのタブルパンチで、肩こり・めまい・頭痛・吐き気・むくみ・ほてり・不眠などの嫌な症状も付随して出現してしまう危険性もあり、嫌なこと尽くしの状態となってしまします。

寒暖差アレルギーについて

寒暖差が引き起こす不調として近年「寒暖差アレルギー」と呼ばれる症状が話題となっています。鼻水・鼻詰まりなどアレルギー性鼻炎のような症状が主ですが、その他に食欲不振・睡眠トラブル・慢性疲労・イライラなど自律神経失調による諸症状も寒暖差アレルギーの症状として挙げられています。

寒暖差アレルギーという名前で呼ばれていますが、実際のところはアレルゲンに対して免疫過剰活動しているわけではありません。医学的には『血管運動性鼻炎』と呼ばれる状態で、身体のアレルギー反応ではなく自律神経の誤作動で鼻の粘膜の血管を広げ“むくみ”を引き起こすことで鼻炎の症状が起こっています。

つまりアレルギーというよりは自律神経の誤差、自律神経失調症状に近いものと考えられます。風邪との見分け方には熱の有無、アレルギー性鼻炎との見分け方としては「イライラや落ち込みなどの気分症状」の有無がポイントとして挙げられています。
寒暖差アレルギーの場合は耳鼻科などで抗ヒスタミン剤やステロイド点眼薬などの対処療法を主体として行われますが、根本改善としては生活や食事などにおいて自律神経のバランスを取り戻す・適度な筋肉をつけ体温変化を予防するなどの努力が必要となります。

寒暖差疲労・寒暖差冷えの予防緩和に

寒暖差疲労や寒暖差疲労によって起こる自律神経の乱れ・冷えなどの不調予防としては、自律神経を整えるための生活=規則正しい生活リズムや睡眠、栄養バランスの良い食事を心がけることが基本となります。加えて寒暖差に体温調節機能が振り回されないように、適度な筋肉を付けて体温維持機能を高めるようにすると良いでしょう。

また寒暖差によっても生成される疲労物質FFに対して、FR(ファティーグ・リカバー・ファクター)と呼ばれる疲労回復因子があります。FRはFFによって傷ついた細胞を治癒して疲労を回復させる物質で、運動時など体に負荷がかかる場合にFFと同時に発生し、リラックスタイムにも増加する傾向にあります。鶏胸肉・ササミや回遊魚に多く含まれる「イミダゾールジペプチド」というアミノ酸もFRの産生に役立つことが確認されています。
自律神経を整えるのも、寒暖差疲労を回復するにも、適度な運動・リラックスタイム・栄養バランスの取れた食事が必要という事になりますね。

防寒イメージ

寒暖差に負けない体作りは勿論ですが、実際に寒暖差がある場合にはそれに対処することも必要となります。女性の場合は着ぶくれが気になって(特に春先は)つい無理をして薄着になりがちですが、なるべく体を冷やさない服装、暑ければ一枚ずつ脱げるような重ね着がオススメです。自宅など自分で空調設定ができる場合はあまり外気温との差が激しくない温度設定にするようにしてください。

気温差があったな、冷えてしまったなと感じる場合は体を温めるニンニク生姜を料理に加えたり、血行促進やリラックス効果が期待できるハーブティーをホットで飲むなどして体の温めを助けてあげてください。


ちょっと温めのお湯でゆったりと半身浴をして、早めに寝ることで体を温めるとともに自律神経のバランスが乱れてしまうのも予防できます。ただし42℃以上の熱いお湯に入ったり、お風呂あがりに冷たい飲み物を摂るのは逆に自律神経に負担をかけてしまいますので要注意です。