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内臓型冷え性が起こる原因と、その対策は?

内臓型冷え性とは

冷え性というと手先が冷たいとか、寒がりであるとか、何らかの形で本人が「冷え」を自覚しているというイメージがあるかと思います。しかし近年は体の内側(内蔵)が冷えている内臓型冷え性と呼ばれるタイプの冷え性が多いことも報じられています。

この内臓型冷え性は“隠れ冷え性”とも呼ばれるように、冷えが体の内側で起こっているため手先や足先は冷たくない・冷えや寒さは感じにくいなど、自覚症状がないことが特徴とも言われています。もちろん冷えが進行してしまうと手先が冷えたり「どれだけ厚着しても冷えを感じる」など自覚できる冷えも起こるようになってきますが、冷えが自覚できるレベルになる=かなり悪化しているという見方も出来ます。

内臓型冷え性の特徴や症状として代表的なものをご紹介しますので、当てはまるものが多くないかチェックしてみて下さい。

【内蔵冷えチェック】
お腹冷えイメージ
  1. お腹を触るとヒンヤリしている
  2. 二の腕や太ももなどが冷える
  3. 手先・足先の冷えは少ない
  4. 低体温(平熱が36℃以下)
  5. 厚着をしても身体の“芯”が冷たい
  6. 風邪を引きやすい・ぶり返す

また内臓型冷え性は内蔵(お腹)の冷えによるものなので腹部膨満感や便秘・下痢など腸トラブルを感じる方も少なくないと言われています。そのほか症状として内臓器官の機能が低下することで起こる肩こり・むくみ・月経トラブル、内蔵冷えは脳の冷え(機能低下)に繋がるという説から倦怠感・だるさ・集中力の低下なども挙げられています。

外側からも見えるものとしては顔色が常に悪い・肌トラブル(肌荒れ・クマ・ニキビ・吹き出物など)が多いことが挙げられています。これらの症状は体の芯から冷えが起こることで血流・代謝・免疫力などが低下するため起こると言われています。血行が悪くなることで起こる顔色の悪さ(くすみ)やクマなどが一番分かりやすいですね。

内蔵型冷え性を起こす原因

冷たい飲み物・食べ物の摂り過ぎ

なぜ内臓が冷えるのか、その原因として最もイメージしやすいのが「冷たいものを摂取し過ぎである」ということ。夏であればアイス・かき氷・そうめん・冷製パスタ・キンキンに冷えたビールなどの飲み物と、とにかく冷たいものが美味しく感じて摂りすぎてしまったことがある方も多いでしょう。

また現在では冬であっても暖房設備などが充実し、家の中は昔のように寒くありません。そして冷蔵庫・冷凍庫が家庭にも設置されていますから、自然ではそうないほど冷えた状態の食べ物・飲み物を手軽に口にすることが出来ます。清涼飲料水などの流通もありますから、冬であっても冷たい食べ物を結構摂取しているという方も少なくないでしょう。

冷たいものを摂取すると、直接的にお腹を冷やすことになります。お風呂に氷を入れるとお湯の温度が下がるようなもの。朝ヨーグルトやスムージなど健康に良いと思われる習慣であっても、冷蔵庫で冷やしすぎていたり食べ過ぎてしまうと体を冷やすことに繋がります。食材には身体を冷やす作用を持つとされているものもありますので注意しましょう。

食事の偏り・栄養不足

冷たいもの・身体を冷やすものの摂取を控えたとしても、エネルギー(熱)の元が無いと体温を維持することは出来ません。そして私達の体を保持し、体温を保持している熱エネルギーを生産するのには様々な栄養素が必要となります。

ダイエットでは極端な食事制限を勧めるものもあります。私達の食生活には過剰に摂取しているものも多くありますが、糖質・脂質・タンパク質は身体を保持するために必要な存在でもあります。過度な食事制限により栄養が不足すると代謝を上げる・体を温めるなどの機能が低下してしまう可能性が高いですし、その結果太りやすい体になる・リバウンドを繰り返すなどダイエットの失敗に繋がるケースも少なくありません。

筋肉量が少ない

内蔵冷え性も通常の冷え性も共通ですが、筋肉は血液循環をサポートするポンプとしての働きを持っています。筋肉量が少ないほど血液を押し出す力が弱くなってしまうため、血液の流れが悪くなり冷えを起こします。手先や足先など末端部が冷えることは知られていますが、内臓も体の一部ですから血行不良によって更に冷える・体温を作り出すのに関わる機能が低下すると考えられます。

女性は男性に比べて筋肉量が少ないことから、末端冷え性であれ内蔵型冷え性であれ「冷え性」のリスクは高くなると言われています。また男性であってもオフィスワークが増え筋肉量が低下している傾向にあることが、ストレスなどと共に冷え性人口が増えている要因ではないかと考えられています。

ストレス・自律神経の乱れ

自律神経は体温調節と関わりが深く、寒い時には血管を細める・暑い時には血管を広げることで熱放出を調整し体温を一定に保つ働きも担っています。自律神経が体温コントロールを適切に行えなくなると、気温が低くなっても手足の血管収縮を収縮させない=手足から熱が逃げ余計に深部体温が奪われていくことになってしまいます。

食事や筋肉量がしっかりしていたとしても身体を冷やすことになってしまいますし、他にも冷えを起こす要因があれば相乗して体温を奪ってしまうでしょう。自律神経が乱れるほど代謝や血行なども低下する可能性が高くなりますから、まさに悪循環と言えます。

そして問題の自律神経が乱れる原因として考えられるのが「ストレス」です。これは人間関係などの精神的ストレスだけではなく、過労や不規則な睡眠リズムなどの肉体的ストレス、騒音などの環境ストレスと様々なタイプの「ストレス」が含まれています。現代人である以上不可避なものも少なくありませんが、負荷がかかるほど自律神経の乱れにも繋がりやすいということは留意する必要があります。

内臓型冷え性の予防・改善策

内臓型冷え性の予防や改善も、基本的には普通の冷え性対策とあまり変わらず体質改善的な面がメインとなります。習慣を変えるのは大変な部分も多いですが、冷えの予防や軽減だけではなく健康維持にも良いことなので是非取り入れてみて下さい。

豚汁イメージ
食事を見直す

冷たい飲み物や食べ物の摂取が内側から体を冷やす原因になるのなら、逆に体を内側から温めてくれる温かいものも補給することは身体を温めることに繋がると言えます。飲み物類などは一旦常温に戻すなど「冷やしすぎない」状態で食べるだけでも違ってくれるでしょう。

また栄養バランスを整えるのに、温野菜サラダや豚汁・シチューなど様々な品目数を食べられるレシピもオススメ。体を温めてくれる生姜唐辛子などを加えても良いでしょう。

【とろみを付けるのも◎】

内側から体を温める食べ方として八宝菜や麻婆豆腐のような“とろみ”がついた形にするのも良いと言われています。猫舌の方が苦労するように、とろみのある料理はなかなか冷めにくいもの。このため保温力が高くお腹の中に入っても暖かさを維持してくれる=体を内側から温めてくれる働きが高いと考えられています。

ウォーキングイメージ
有酸素運動を取り入れる

冷えの原因は筋肉量の低下や自律神経の乱れによる可能性もあります。このため筋肉量を維持するため、ある程度の運動も冷え性の改善には必要となります。ウオーキングなどの有酸素運動は副交感神経を高めることで自律神経を整える働きも期待できますから一石二鳥ですね。

運動習慣がない・前にやってみたけど続かなかったという方であれば、通勤や通学路を少し遠回りのルートに変えてみたり、室内でも出来るストレッチやスクワットを取り入れるなど無理がなく続けられそうな範囲から行ってみて下さい。

【入浴も自律神経調整や冷えとりに有効】

様々なストレスには不可避と言えるものもありますから「ストレスを無くそう」と無責任には言い切れませんが、副交感神経の活動を高めることで自律神経のバランスを整えることが出来ます。有酸素運動と同じく温めのお湯で行う半身浴にも副交感神経を活発にする働きがあると言われています。

温めのお湯にしっかりと浸かることは身体を芯から温めることにも繋がりますから、内蔵型冷え性の直接的な緩和にも役立ってくれるでしょう。

こんな対策もオススメ

内臓型冷え性の方の場合はかなり悪化していないと末梢部は冷えておらず、あまり冷え・寒さを感じない方が多いと言われています。むしろ暑いくらいに感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、身体の内側が冷えているので薄着で過ごすのは余計に冷えを悪化させてしまうことになりますから、きちんと季節にあった温かい服を着るようにしましょう。通気性の高い素材を選び、汗が残って体温を奪ってしまうのを避けるようにします。

お腹の冷え・体の内側からの冷えを感じる場合には腹巻きを使ったり、お腹や腰などにカイロを当てておくのもオススメです。ただしカイロで暖かくなっても冷えが改善しているというわけではなく、一時的な応急処置のようなもの。外してしばらく経てば元に戻ってしまいますので、冷えない食事・冷えない体を作ることと併用して行いましょう。